コラム
2018-11-12
大阪北部地震事例から学ぶ非常時のサーバ運用術、6月18日にどう動いたのか


2018年は多くの自然災害が日本列島を襲う年だった。裏を返せば、多くの企業の情報システム部門が、緊急対応を迫られた年だったといえるだろう。今後も自然災害が常態化すれば、それだけ緊急対応の回数も増えることになる。
ここでは、6月18日に発生した大阪北部地震における、あるIT企業の緊急対応を事例に、今後のITシステムの運用・監視の在り方を考える。
目次
- 6月18日の大阪北部地震、ある企業が直面した「アクセス急増」問題
- CDN導入と10Gbpsへの帯域拡大が台風被害によるアクセス集中問題を未然に防いだ
- インフラエンジニアの日常業務を固定金額で肩代わりする"フル"マネージドサービス
- 緊急時の対応が証明したアイテック阪急阪神の対応力と現場力
6月18日の大阪北部地震、ある企業が直面した「アクセス急増」問題
地震、集中豪雨、台風......。2018年は日本全土がさまざまな自然災害に襲われた。非常事態時には、普段以上に企業の対応が問われる。特に人々の生活インフラを支える企業の場合、非常時にも安定したサービスの提供が求められる。2018年6月18日、7時58分に発生した大阪北部地震でも、まさにそうしたインフラ企業における対応が焦点となったので、その事例を紹介しよう。
大阪で3カ所、東京で2カ所のデータセンターを運用し、多くの企業のITシステムの運用・監視を行っているアイテック阪急阪神の奥 裕之氏は、次のように語る。
「我々はお客さまのシステムを24時間365日体制で監視しています。6月18日午前7時58分に地震が発生した直後、監視の担当者から我々に届いたのは『停止したサービスはない』という報告でした」(奥氏)
ところが、その後、事態は急変する。同社が管理しているサーバ群へのアクセスが急上昇を始めたのだ。
「出社が困難な社員もいる中、出社できたスタッフを中心に対応を進めました。まず、8時過ぎから問題の切り分けを開始し、すぐに、アクセスが急増しているのが、交通インフラ企業の情報配信サイトであることを突き止めました」(奥氏)
同社は、交通インフラ企業のWebサイトのインフラ運用からコンテンツ制作・運用までを行っている。地震を受けて運行状況を確認するユーザーが増えた結果、情報配信サイトへのアクセスが急増することで帯域がひっ迫し、サイトへのアクセスが困難なレベルに達しようとしていたのである。
「2社のサイトでアクセスが急増していましたので、1社については動的なコンテンツを最小限の情報を提供する静的コンテンツに修正し、負荷低減策を実施しました。もう1社のサイトではアクセス制限をかけて、ほかのサーバに影響が及ばないように調整しました。その後もアクセス状況のモニタリングと設定値の微調整を継続し、その結果、10時すぎにはほぼすべてのサーバで安定して配信できる状態になりました」(奥氏)
以上が6月18日当日の対応だが、それで終わりではなかった。その後同様に災害が起きて、今回以上にアクセスが上昇した場合にも、安定してサービスを提供することが求められる。事実、今年大阪を含む西日本を相次いで襲った台風でも、急激なアクセス上昇が検知された。
CDN導入と10Gbpsへの帯域拡大が台風被害によるアクセス集中問題を未然に防いだ
アクセス集中が起きた2社のサイトに対して、まずアイテック阪急阪神が提案したのがCDN(Content Delivery Network)だった。コンテンツを配信するサーバを分散することで、配信をスムーズにする仕組みだ。マルチメディア事業本部第1営業部 東京営業課 担当課長 亀田 啓介氏は、次のように説明する。
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大阪北部地震事例から学ぶ非常時のサーバ運用術
実際の災害事例を元に、弊社のマネージドサービスがどう活用されたのか、企業のWebサイト運用における災害対策の在り方を解説。