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コラム

2024-04-18

ハイブリッドクラウドが選ばれる5つの理由とは?構成例や課題も解説

ハイブリッドクラウドが選ばれる5つの理由とは?構成例や課題も解説ハイブリッドクラウドが選ばれる5つの理由とは?構成例や課題も解説

クラウド活用が進む中、事業の拡大や業務効率化のために自社に適したクラウド環境を模索している企業は多いことでしょう。「ハイブリッドクラウド」は、パブリッククラウドとプライベートクラウド、またはオンプレミスの物理サーバを組み合わせて利用する形態であり、多くのメリットがあります。

本記事では、ハイブリッドクラウドの基本情報から代表的な選定理由、具体的な構成例、導入が向いている企業や事業の特徴まで解説します。

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスの物理サーバなどの複数の環境を組み合わせて利用する形態です。異なる環境を組み合わせて、それぞれのメリットを活かしつつ、デメリットをカバーし合うことでビジネスニーズに応じて活用できます。

例えば、重要な機密データはプライベートクラウドやオンプレミスに保管してセキュリティを確保し、リソースの拡張が必要な場面ではパブリッククラウドを活用するなどの使用例があります。ハイブリッドクラウドの構築は容易ではありませんが、それに見合った価値があるといえるでしょう。

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

ハイブリッドクラウドと混同されやすい形態が「マルチクラウド」です。ハイブリッドクラウドとマルチクラウドは、どちらも複数のクラウド環境を利用する点は共通しています。

マルチクラウドとは、複数のクラウドベンダーが提供するプラットフォーム(主にパブリッククラウド)を同時に利用する形態を指します。例えば、アマゾンウェブサービス(以下、AWS)とMicrosoft Azure(以下、Azure)を併用する場合などです。これらは基本的にそれぞれ独立して運用し、プラットフォーム間の統合はせずに併用しながら最適な運用を目指します。

一方、ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドとプライベートクラウド、あるいはパブリッククラウドとオンプレミスなど、異なる環境を組み合わせるシステム構成を意味します。全てのシステムをパブリッククラウドに移行することが現実的ではない場合や特定のシステムに対して高度なセキュリティ要件やレガシーシステムの統合などが必要な場合は、ハイブリッドクラウドを検討すると良いでしょう。

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

ハイブリッドクラウドが選ばれる5つの理由

次に、ハイブリッドクラウドが多くの企業に選ばれる理由となる、主なメリットについて解説します。

コスト削減

社内システムを全てオンプレミスで運用する場合、ハードウェア本体だけでなく設置スペースや電源設備も含めた調達・保守運用コストが必要です。パブリッククラウドと組み合わせてハイブリッドクラウドを構築すれば、これらのコストを削減することが可能です。

企業はパブリッククラウドとオンプレミスを適切に使い分けることで、設備投資や運用コストを大幅に削減できるでしょう。

柔軟なスケーリング

オンプレミスでリソースを増強する場合、ハードウェアなどを調達し、設定するための時間が必要です。自社専有のホスティング型プライベートクラウドでも、リソースの変更などに一定の時間がかかります。

しかし、ハイブリッドクラウドを構築すれば、オンプレミスのリソースが不足した際にもパブリッククラウドのリソースをスムーズにスケールアップさせ、利用することが可能です。また、パブリッククラウドなら不要になったリソースを減らすことができます。したがって、一時的または試験的に利用するワークロードにも適しています。

オンプレミスのワークロードをパブリッククラウドに移行するには準備作業が必要ですが、これをクリアすれば2つの異なるインフラ間でのスケーリングが容易となります。結果として、ビジネスにおける柔軟性と利便性が格段に向上します。

セキュリティの強化

ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドのセキュリティ面の懸念を軽減できます。パブリッククラウドは基本的にインターネットを介して利用するため、機密データを取り扱う際には厳重なセキュリティ対策が求められます。

その解決策となるのがハイブリッドクラウドの構築です。機密データをプライベートクラウドやオンプレミス環境で管理し、自社に適したセキュリティポリシーを設定することで、情報漏えいのリスクを軽減できます。

ハイブリッドクラウド全体におけるセキュリティの問題の監視・検出・報告を行うには、ハイブリッドクラウドに適したセキュリティ製品が役立ちます。代表的なものとして、トレンドマイクロ社が提供するハイブリッドクラウド向けの製品群などがあります。

コンプライアンスの遵守

パブリッククラウドベンダーは世界各国にデータセンターを所有しており、選択肢が豊富なこともメリットの一つです。しかし、特定のデータは国内に置かなければならない法規制や、企業のデータ取扱い要件により、全てをパブリッククラウドへ移行することが難しい場合もあるでしょう。

ハイブリッドクラウドであれば、機密データはデータ保護法規や企業の規定に対応した場所に制限して運用し、パブリッククラウドとの間でデータをやりとりすることもできます。

一貫性のあるIT環境の維持

ハイブリッドクラウドを効果的に活用するためには、複数の環境でアプリケーションとデータの一貫性を持たせることが重要です。こうした取組には、今まで多くのコストや時間が必要でしたが、現在パブリッククラウドベンダーはハイブリッドクラウドの需要に応えるべく、さまざまなサービスやアプライアンスを用意しています。

例えば、Azureが提供する「Azure Stack」を使用すれば、Azureの機能をオンプレミスの自社サーバ上で利用できるようになります。また、VMwareとAWSが提供するサービス「VMware Cloud on AWS」は、オンプレミスのVMware環境をAWSのクラウドと組み合わせて利用可能です。

こうしたサービスを利用することで、ハイブリッドクラウド環境の一貫性を確保しながら、異なるプラットフォーム間での移行や管理の簡素化を実現可能です。ハイブリッドクラウドの構築にかかる手間が軽減され、効率的な運用が可能になります。

ハイブリッドクラウドの課題

ハイブリッドクラウドにはメリットが多い一方で、いくつかの課題も存在します。

複雑なシステム構成

ハイブリッドクラウドは複数の環境を運用するため、単一の環境を運用する場合と比較して構成が複雑になりやすい点がデメリットです。管理者には両環境の構成およびそれらを統合する技術に対する深い理解が求められます。

管理項目も多くなり運用負荷が高くなる懸念があるため、管理を統合するツールの導入や、オペレーションの自動化の検討が推奨されます。

コスト計算の難化

構成の複雑化に伴い、コストの予測が難しくなることも懸念されます。コスト管理ツールなどを活用して各サービスの使用状況と費用を可視化し、定期的に予算計画に対するレビューを行うことが重要です。

また、継続的なシステム監視を行い、利用されていないリソースの削減や効率的なリソースの割り当てを行うことでコストを最適化できます。

ハイブリッドクラウドの構成例

ここでは、実際にどのようなケースでハイブリッドクラウドが利用されているか、具体的なハイブリッドクラウドの構成例について解説します。

データの機密性に応じた使い分け

データの機密性に対応したハイブリッドクラウド構成例

データの機密性に対応したハイブリッドクラウド構成例

取り扱う全てのデータに対して厳重なセキュリティ対策を行うことが理想ですが、データの種類によってセキュリティレベルは異なります。

機密情報を含む重要なデータはセキュリティ強度が高いプライベートクラウドやオンプレミス、公開情報や機密性の低いデータはコストを抑えられるパブリッククラウドに保管するなど、うまく使い分けることがおすすめです。これによりセキュリティの強化とコスト最適化を両立できます。

例えば、個人情報が含まれる顧客データはオンプレミスやプライベートクラウドで収集し、それを匿名化した後に処理や分析のためにパブリッククラウドへ送るといった構成例があります。コンプライアンスを遵守しながら、ビジネス要件に合わせたカスタマイズが可能です。

需要変動の大きさに応じた使い分け

企業によっては季節やイベントなどの要因でリソースの負荷が高まり、外部からのアクセスが急増することもあります。サーバ環境の全てをオンプレミスやプライベートクラウドで管理する場合、このように急なリソース変更が必要になった際に柔軟な変更を即座に行うのは困難です。そのため常時スペックの高いサーバやネットワーク構成を維持しなければならず、コスト面での負荷が大きくなります。

そこで、需要の変動が大きいシステムはパブリッククラウドに置くことで、必要なときに必要なだけリソースを増強し、需要が落ち着いたら通常のスペックに戻す方法が有効です。無駄なコストが発生しなくなり、コスト効率を大きく向上させることが可能です。

パブリッククラウドとオンプレミスの接続

ハイブリッドクラウドの環境では、オンプレミスとパブリッククラウド間のスムーズなデータとアプリケーションの移動が重要です。専用線やVPN(仮想プライベートネットワーク)を活用することで、安全かつ効率的にデータをやり取りでき、業務の連続性と効率性を確保できます。

一方で、それぞれの方法に特有のメリットと用途があるため、企業のニーズに応じた選択が必要となります。専用線とVPNの違いについては「専用線とVPNの違いは?セキュリティや品質、使い分け方を比較」をご覧ください。

ハイブリッドクラウドの導入が向いている企業や事業の特徴

ハイブリッドクラウドは、組み合わせ方を調整することでカスタマイズできるため、多くの企業のニーズに対応できます。なかでもハイブリッドクラウドの導入が向いているケースは以下のとおりです。

厳しいシステム要件がある企業

厳しいコンプライアンス要件やセキュリティポリシーがあるためにパブリッククラウドへ移行できないシステムやデータを持つ企業には、ハイブリッドクラウドが適しています。

機密性の高いデータはオンプレミスの物理サーバやプライベートクラウドで管理し、スピードや利便性が求められる、かつ機密性の高くないシステムはパブリッククラウドで運用します。これにより、堅牢なデータ保護の体制と、クラウドの柔軟性・スケーラビリティを両立できるでしょう。

既存のオンプレミス環境を活用したい企業

すでに大規模なオンプレミスのITインフラを持つ企業がクラウドへ完全移行するには、多くのコストが必要です。また、移行に際してデータの損失や不整合などが発生するリスクもあります。

ハイブリッドクラウドを採用すると、既存の投資を最大限に活用しながら、クラウドの利点も享受できます。

先進的技術を手軽に取り入れたい企業

パブリッククラウドでは、AIや機械学習など最先端の技術を活用したサービスが次々とリリースされます。こうした技術を手軽に活用してビジネスに先進性を取り入れたい企業にとっても、ハイブリッドクラウドは最適です。

必要な部分のみにパブリッククラウドを利用することで、リスクを最小限に抑えつつ、最新のイノベーションをビジネスに組み込めます。

ビッグデータを扱う企業

顧客管理システムにおける顧客とのコミュニケーションデータなど、増加し続けるデータを扱う企業にとって、オンプレミスでリソースを増強し続けることはコスト面で厳しいでしょう。

ハイブリッドクラウドを採用すれば、頻繁に使用しないデータはクラウドにアーカイブしておき、必要なときに呼び出す仕組みを構築可能です。これにより、企業はストレージコストを大幅に削減できるほか、データの急激な増減にも対応できるようになります。

まとめ

ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドとプライベートクラウド、オンプレミスなど複数の環境を組み合わせて一つのシステムとして使用する形態です。組み合わせ方を工夫することで、各環境の特性を活かし、幅広いニーズに対応できます。

ハイブリッドクラウドには、単一の環境を利用するよりもシステム構成やコスト計算が複雑になりやすい課題もあります。しかし、セキュリティの強化や柔軟なスケーリング、コストの最適化といった多くのメリットを享受できることが、ハイブリッドクラウドの魅力です。既存のオンプレミス環境を活用したい、厳しいシステム要件への対応に苦労している、といった企業はハイブリッドクラウドの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

効果的なハイブリッドクラウドを構築・活用するためには、自社の課題やニーズを洗い出し、最適な構成を検討することが重要です。しかし、これらの作業は複雑で、技術的な知識と経験を要します。ささいなミスが運用開始後の大きなトラブルにも発展しかねません。リスクを最小限に抑えるには、専門家への相談がおすすめです。ハイブリッドクラウドの導入を検討されている方は、アイテック阪急阪神にご相談ください。

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