コラム
2025-07-29
標的型攻撃メールへの効果的な対策方法! 手口や危険性、事例もわかりやすく解説


目次
メールによる標的型攻撃の実態
近年、サイバー攻撃の脅威は深刻化の一途を辿っています。標的型攻撃もよく取り上げられており、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表している、「情報セキュリティ10大脅威 2025 [組織]」では、ランキングの5位に"機密情報等を狙った標的型攻撃"が入り、10年連続10回目の選出となりました[※1]。標的型攻撃には、不正アクセスやWebサイトの改ざんなど複数の手口がありますが、特に注意すべきなのはメールによる攻撃です。
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(以下、JIPDEC)と株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)が発表した、「企業IT利活用動向調査2025」によると、「勤務先でランサムウェア感染による被害を経験したことがある」と答えた回答した人のうち、28.3%が侵入経路は「メールやその添付ファイル」であったと回答しており[※2]、全体で最も多い結果となっています。このことからも、標的型攻撃メールの対策が重要であることが伺えます。
標的型攻撃メールとは
標的型攻撃メールは、不特定多数にばらまかれる迷惑メールと異なり、企業や官公庁など特定の組織から重要な情報を盗むことを目的とする攻撃メールです。攻撃者は、時事問題などのメール受信者の興味を引く内容や、実際の業務や取引に関する情報を利用して、メール受信者が自身の業務に関係のあるメールだと信じ込ませるメールを送信します。それを標的型攻撃と気づかずメール内のリンクをクリックすることや、添付ファイルを開くことでウィルスに感染します。
ご紹介したように、標的型攻撃メールはシステムではなく従業員を狙うため、情報セキュリティ担当者だけではなく、会社一丸となって取り組む必要があるでしょう。
標的型攻撃メールの危険性
標的型攻撃メールによるリスクには以下のようなものが挙げられます。
マルウェア(悪意のあるソフトウェア)感染
メールに含まれている悪意のあるリンクや添付ファイルをクリックすることで、マルウェアがインストールされ、システムがウィルスに感染します。これによりパソコン内に保存されているデータや、ネットワークでつながった社内サーバに侵入され、データの破壊や暗号化、機密情報の漏えいが発生する可能性があります。
金銭的損失
マルウェア感染やフィッシング詐欺により、銀行口座情報やクレジットカード番号が盗まれたり、企業の資金が不正に移動されたりする可能性があります。また、マルウェアの一種であるランサムウェアは感染後、データを暗号化し、データを復号する対価として金銭を要求することがあります。
業務の中断
ランサムウェアの攻撃により、システムやネットワークが利用不能になることがあります。これにより、業務の中断や遅延が発生し、企業の生産性に大きな影響を及ぼします。
ブランドイメージの毀損
情報漏えいや攻撃の被害が公になると、企業の信用やブランドイメージにダメージを与える可能性があります。これにより、顧客やパートナーの信頼を失うリスクがあります。
標的型攻撃メールへの対策
このように標的型攻撃メールの被害に遭うと、企業は大きな損失を被ります。そのため、企業にとって標的型攻撃メールへの対策は不可欠です。セキュリティソフトの導入やソフトウェアの更新などの一般的なマルウェア対策や、メールフィルタリングの強化なども必要ですが、最後の砦として"全従業員のセキュリティ意識の向上"が重要となります。
従業員のセキュリティ意識
攻撃者は日々新しい攻撃方法を生み出しており、ゼロデイ攻撃など未知のウィルスや、高度ななりすましに対しては、従業員のセキュリティ意識が重要です。そのため従業員一人ひとりが標的型攻撃メールを見抜ける力を養う必要があります。具体的なポイントは以下の通りです。
- 送信者の情報や送信元アドレスを確認する
実際に存在する企業や取引を名乗っている場合でも、フリーアドレスを使用している場合や、心あたりのないメールには注意が必要です - メール本文に不審な点がないか確認する
日本語が不自然なものや、過度に不安を煽るものには注意が必要です - 添付ファイルやリンクを安易にクリックしない
表示されているURLと実際のリンク先が異なる場合や、実行形式のファイルが添付されている場合などは特に注意が必要です
標的型攻撃メールの対策には訓練が有効
このような情報リテラシーの育成には、eラーニングなどの研修が有効です。しかし、本当に従業員一人ひとりが理解し、適切に対処できるのか不安な場合や、社内研修が繰り返されることでマンネリ化し、従業員に対策の重要性が伝わらないと危惧する場合は、標的型攻撃メールの訓練が効果的です。
標的型攻撃メール訓練では、実際に従業員に向けて標的型攻撃に模したメールを送信するため、実践的な訓練を実施できます。メールや添付ファイルなどの開封率のモニタリングなどから、自社の従業員の理解度がわかるほか、従業員はメールのチェックすべきポイントや、怪しいメールを開いてしまった際の適切な対処方法などを実際に体験しながら学ぶことができるため、訓練のマンネリ化を防ぐことも可能です。
標的型攻撃メール対策にはアイテック阪急阪神の標的型攻撃メール訓練サービスがおすすめ
アイテック阪急阪神でも標的型攻撃メール訓練サービスを取り扱っています。訓練の実施方法やメールの内容などのサポートから、訓練実施後の振り返りまでサポートが可能です。オプションで研修も実施でき、実際に標的型攻撃メールの訓練を受けた後に研修で振り返ることにより、情報セキュリティ意識のさらなる向上に繋げることができます。また、研修内容は企業ごとにカスタマイズが可能な点も特長です。
標的型攻撃メール対策事例
実際に標的型攻撃メールの訓練を実施した東武ビルマネジメント様の事例をご紹介します。
課題
- 従業員のセキュリティ意識が不足していた
- 書面ベースでの教育を実施していたが、学んだことを実践できずに終わるケースが多かった
サービス選定
- サービス選定では、柔軟なサポートと適切なアドバイスが受けられることを重視
- 迅速な対応、丁寧なサポート・アドバイス、そしてコストパフォーマンスが決め手となり導入を決定
訓練の実施
- 初回の訓練は2020年8月に行われ、その後年2回のペースで継続的に訓練を実施
- 現場の特徴やトレンドを反映させ、「思わず開きたくなる内容でありながらも過剰にならず、しかも悪質なメールであることを見抜けるポイントも作る」ことに注力して訓練メールを作成
効果
- 導入当初から、標的型攻撃メールの開封率だけでなく、怪しいメールを受信した社員からの「報告率」に注目
- 開封者の報告率が9割まで向上し、メールの開封率も1割未満に
- 不審なメールに対する相談件数も増加し、従業員が「何か怪しい」と感じた際に気軽に報告する文化が根付いた
》事例全文はこちら
東武ビルマネジメント様|標的型攻撃メール訓練サービスにより不審メールの報告率大幅アップ!
標的型攻撃メールへの対策には訓練を
企業の情報資産を守る上で、標的型攻撃メールへの対策は不可欠です。技術的な対策やeラーニングなどによる教育も有効ですが、より強固な体制を築くには、従業員が実践的な体験で学ぶことができる、「標的型攻撃メール訓練サービス」も併せて実施しておくことがおすすめです。アイテック阪急阪神の標的型攻撃メール訓練サービスは、企業ごとに合わせたサポートが特長です。価格につきましてはアイテック阪急阪神までお問い合わせください。
出典
- [※1] 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2025 [組織]」(2025年1月30日)
- [※2] ITRプレスリリース「企業IT利活用動向調査2025」(2025年3月14日)
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標的型攻撃メール訓練サービスご紹介資ご紹介資料
企業を対象に模擬メールで標的型攻撃の訓練を実施し、従業員のセキュリティ意識と緊急事態への対応能力の向上を図るサービスです。
よくある質問
Q1 標的型攻撃メールとは何ですか?
特定の組織から重要な情報を盗むことを目的とした攻撃メールです。受信者の興味を引く内容や、実際の業務・取引に関する内容を装い、悪意あるリンクのクリックや添付ファイルの開封を通じてウィルスに感染させようとします。
Q2 標的型攻撃メールの主な危険性にはどのようなものがありますか?
主な危険性として、以下が挙げられます。
- マルウェア感染:データの破壊、暗号化、機密情報の盗難など
- 金銭的損失: 金融情報の盗難や不正な資金移動、ランサムウェアによる身代金の要求など
- 業務の中断:システムやネットワークが利用不能になることによる業務の停止や遅延
- ブランドイメージの毀損:情報漏えいや攻撃被害が公になることによる、企業の信用やブランドイメージへのダメージ
Q3 標的型攻撃メールへの対策として、従業員のセキュリティ意識向上はなぜ重要なのでしょうか?
ゼロデイ攻撃や高度ななりすましといった未知の脅威に対しては、技術的な対策だけでは防ぐことができず、従業員一人ひとりのセキュリティ意識に依存してしまうため、従業員の意識の向上が重要となります。
Q4 標的型攻撃メール対策において、「訓練」はどのような点で有効ですか?
eラーニングなどの研修を行っているものの理解度に不安が残る場合や、研修のマンネリ化を防ぐ上で非常に有効です。模擬メールの送信による開封率のモニタリングで理解度を把握でき、実践的な訓練により従業員自身がチェックポイントや対処方法を体験しながら学べるため、セキュリティ意識の向上につながります。
Q5 アイテック阪急阪神が提供する標的型攻撃メール訓練サービスの特長は何ですか?
訓練の実施方法やメールの内容に関するサポートから、訓練実施後の振り返りまで一貫してサポートできる点が特長です。オプションで研修も実施でき、研修内容を企業ごとにカスタマイズできる点もポイントです。
Q6 標的型攻撃メール訓練サービスを導入すると具体的にどのような効果が得られますか?
東武ビルマネジメント様に導入頂いた際は訓練の結果、怪しいメール(模擬メール)の報告率が9割まで向上し、メールの開封率は1割未満に減少しています。また、不審なメールに対する相談件数も増加し、「何か怪しい」と感じた際に気軽に報告する文化が根付いたという効果が見られました。