コラム
2025-12-26
【エモテット対策の最前線】感染経路・被害・標的型攻撃訓練まで徹底解説


目次
エモテットとは?特徴と感染経路
エモテット(Emotet)は、近年ますます巧妙化し被害が拡大している代表的なマルウェアの一つです。もともとは銀行情報を狙うトロイの木馬型マルウェアとして誕生しましたが、現在ではランサムウェアなど別のマルウェアをばらまく「マルウェア配布プラットフォーム」として進化し、企業のITインフラに甚大な影響を与えています。
主な感染経路は電子メール(メール)であり、無差別送信だけではなく特定の企業や個人を狙った巧妙な標的型メールが多く確認されています。こうしたメールは、業務に関連する内容や取引先を装っており、従業員が添付ファイルを開く、またはマクロを有効にすることで感染が始まることが一般的です。
エモテット感染の特徴と標的型攻撃
エモテットは感染するとネットワーク内で自己増殖し、社内の複数端末に拡散します。また、エモテット本体は不正コードが少なく、一般的なマルウェア対策ソフトだけでは検出が困難です。
感染経路の多くは、標的型攻撃メールへの対策が不十分で、悪意ある添付ファイルやリンクが開かれるケースです。攻撃者は送信者を偽装し、企業の内部メールのように見せかけながらフィッシングメールを送信し、感染を広げます。標的型攻撃メールはシステムではなく従業員を狙うため、一般的なスパムフィルタでは防ぎきれません。そのため、従業員一人一人が巧妙な攻撃メールを見抜く力が求められ、企業はセキュリティリテラシーを従業員に浸透させることが重要です。
標的型攻撃メールの代表的な手法
最近のエモテット感染事例で特に目立つのは、以下のような「過去のやり取りを悪用した極めて自然な偽装」です。
- 「RE:」を件名に付け、過去にやり取りした実在のメールを引用し、実際の返信メールに偽装
- 取引先や上司を装った送信者の偽装
- メールに添付されたWord/Excelファイルに悪意のあるマクロを埋め込む
- 偽装ログインページへの誘導
- 事前に盗み出した実在のメールスレッドをそのまま引用し、「Re:」や「FW:」を付与した返信形式で送信することで、会話の連続性を完全に再現する
- 「請求書再送のお願い」「納品書のご確認(至急)」「契約更新に関する重要なお知らせ」などの業務上緊急性が高い件名を用い、開封を強く促す内容を記載する
- Microsoft 365やGoogle Workspaceの「〇〇さんからファイルが共有されました」といった正規通知メールを精巧に模倣し、記載されたリンクをクリックすると偽のログイン画面が表示され、ID・パスワードを盗み取られる
また、エモテットに感染するとネットワーク内に侵入口が作られ、ランサムウェアなど他のマルウェアの侵入を許してしまうケースも少なくありません。
エモテットとランサムウェアの連携
エモテット単独での被害も深刻ですが、特にランサムウェアと連携した被害の拡大が懸念されています。感染したシステムは、ランサムウェアをダウンロードして実行されるプラットフォームとなり、企業の重要データが暗号化されて身代金要求に至るケースが増えています。
この連携攻撃は被害の深刻化を招き、復旧コストや業務停止時間の増大、ブランドイメージの失墜につながるため、エモテットとランサムウェア両面の対策が不可欠です。
エモテット感染による企業被害の具体例
エモテット感染がもたらす被害は多岐にわたります。主な影響は以下のとおりです。
- 機密情報や顧客データの搾取・漏えい
- ネットワーク全体のシステム停止
- ランサムウェアによるデータ暗号化および身代金要求
- 企業の経済的損失(復旧費用、信用失墜など)
- 個人情報漏えいに伴う法的リスクや罰則
これらを防ぐためにも、主な感染経路である標的型攻撃メールへの対策として、従業員のセキュリティ意識の向上やセキュリティ訓練が重要視されています。
エモテット感染時の対応策
万が一エモテット感染が確認された場合には、以下の対応を迅速に実施する必要があります。
- 感染した端末をネットワークから即時に切り離す
- 感染範囲や経路の詳細調査とログ解析
- セキュリティ専門家への早急な相談・対応依頼
- 最新のアンチウィルスソフトでのマルウェア駆除
- バックアップからのシステム復元
- 関連するパスワードを全て変更
- 従業員への周知徹底と再発防止策の強化
- ネットワークセグメント化・フィルタリングなど技術的対策の見直し
エモテット対策のポイント|マルウェア対策と標的型攻撃メール訓練
エモテット感染を防ぐためには、技術的なマルウェア対策と人的な標的型攻撃メール訓練を組み合わせる必要があります。
代表的なエモテット対策
- セキュリティソフトの導入と更新
リアルタイム検知・定期スキャンを実施し、ウィルス定義ファイルは常に最新に保ちましょう。 - OS・ソフトウェアの最新パッチ適用
既知の脆弱性を放置しないことが感染リスクの低減に繋がります。 - メールフィルタリングとドメイン認証技術の活用
スパムメールやフィッシングメールを自動で判別・隔離する仕組みを導入しましょう。 - 定期的な従業員教育と訓練
標的型攻撃メールの見分け方や、危険な添付ファイル・リンクの識別方法を、全社員に浸透させることが重要です。 - ネットワークのセグメント化とバックアップ実施
感染拡大防止と被害復旧のための基本対策となります。 - 多要素認証の導入
パスワード漏えい時の被害を防ぐため、重要システムには必須です。
なかでも重要なのが、定期的な従業員教育と訓練です。エモテット感染は標的型攻撃メールが多く、どれだけ高性能なセキュリティ製品を導入しても、最後にクリックしてしまうのは従業員です。だからこそ、従業員一人一人のセキュリティリテラシーを向上させることが必要不可欠となっています。特に注目されているのが、標的型攻撃メール訓練です。標的型攻撃メール訓練は、実際の標的型攻撃メールを模したメールを従業員に送付する、実践的なセキュリティ教育です。
訓練実施で期待できる具体的な効果
- 従業員のメールセキュリティ意識の向上
- 従業員のセキュリティリテラシーの可視化
- 感染時のシミュレーションも行うことで、緊急時の対応能力の向上
アイテック阪急阪神の標的型攻撃メール訓練サービスのご紹介
弊社アイテック阪急阪神が提供する「標的型攻撃メール訓練サービス」は、手厚いサポートと豊富な実績で多くの企業様からご好評をいただいています。
- 実際の標的型攻撃メールを模倣した訓練シナリオのご提案
- 開封数やクリック率などの効果測定とフィードバック
- 企業ごとに合わせた教育資料や研修の実施(オプション)
- 阪急阪神グループ企業をはじめとした安心の導入実績
<標的型攻撃メール訓練サービス導入事例>
実際に標的型攻撃メールの訓練を実施した聖心女子大学様の事例をご紹介します。
課題
- 教職員に対して不審メールに関する注意喚起を行っていたものの、実践的な訓練まで実施できていなかった。
- 教職員への情報セキュリティ教育が十分ではなく、サイバー攻撃への対応に不安を抱えていた。
効果
- 大学特有の環境や文化に合わせた標的型攻撃メール訓練を実施できた。
- 不審メールの特徴や見分け方、具体的な対処方法など実践的な知識とスキルの習得につながった。
- 教職員の情報セキュリティに対する意識が向上した。
》聖心女子大学様の標的型攻撃メール訓練事例はこちら
聖心女子大学様|標的型攻撃メール訓練サービスと研修により情報セキュリティ意識を醸成
企業におけるエモテット感染の根本的な原因は、多くの場合、人的ミスや不注意によるものです。そのため技術対策だけでなく、訓練や教育を通じて従業員の防御力を高めることが重要です。
まとめ
エモテットは日々進化し続けるマルウェアであり、その脅威は今後も増大していくと予想されます。企業が被害を未然に防ぐためには、マルウェア対策ソフトの導入に加え、標的型攻撃メール対策や従業員教育・訓練を継続的に実施し、組織全体でセキュリティ意識を高めることが不可欠です。
アイテック阪急阪神の標的型攻撃メール訓練サービスは、企業ごとに合わせたカスタマイズが特徴です。価格やセキュリティに関するご相談はアイテック阪急阪神までお問い合わせください。
関連資料をダウンロード
標的型攻撃メール訓練サービスご紹介資料
企業を対象に模擬メールで標的型攻撃の訓練を実施し、従業員のセキュリティ意識と緊急事態への対応能力の向上を図るサービスです。