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コラム

2025-01-24

ファイルサーバとは?機能や種類、NASとの違いを解説

ファイルサーバとは?機能や種類、NASとの違いを解説ファイルサーバとは?機能や種類、NASとの違いを解説

ファイルサーバは企業内でファイルやデータを効率的に共有するための重要なツールです。導入に際しては、自社のニーズに最適なファイルサーバを選定することが不可欠です。この記事では、ファイルサーバの主な機能や種類、オンプレミスとクラウドの違いや導入時のポイントについて解説します。

ファイルサーバとは?

ファイルサーバとは、ファイルやデータを保存・共有・管理するためのサーバです。ファイルサーバを利用することで、複数のユーザーがファイルやデータを共有でき、業務の効率化を図ることができます。また、保存先をファイルサーバに一元化することで管理が容易になり、システム担当者の管理負荷を軽減することにもつながります。

ファイルサーバの主な機能

ファイルサーバの基本的な機能は以下の3点です。

  • ファイル共有
  • アクセス制御
  • バックアップとリカバリ

ファイル共有

前述のとおり、ファイルサーバを活用することで、事業活動で生成された膨大なデータを複数のユーザーで共有できます。ファイルサーバにアップロードしたデータは、アクセス権限を持つ全てのアカウントで閲覧や編集、ダウンロードが可能です。

ファイルサーバを使わずに各ユーザーがローカル環境でデータを管理すると、メール添付やUSBメモリでの共有が必要になり手間がかかります。また、プロジェクトで業務を進める際には、どこにどのデータがあるか把握するのが難しくなり、共同作業に支障をきたすことがあります。さらに、誤ったバージョンのファイルを使用するリスクも高まります。

ファイルサーバ上で最新のファイルを共有すれば、データの個別送受信の手間が省け、ファイルの一貫性が保たれ、共有作業の促進につながります。

アクセス制御

ファイルサーバはアクセス制御機能を備えており、ファイルやフォルダ単位でアクセス権限を設定できます。アクセス権限を設定する例として、以下のような使い方が考えられます。

  • プロジェクトごとにフォルダを作成し、プロジェクトのチームメンバーに対してアクセスを許可することで、チームメンバーのみがフォルダ内のデータにアクセスできるようにする
  • 経理部門が作成した財務報告書は、全社員が閲覧可能だが、編集や削除ができるのは経理部門のみとし、閲覧者の操作ミスによるファイル紛失を防ぐ
  • 経営資料は経営層のみがアクセスできるように権限を設定し、セキュリティの強化や機密情報の保護を実現する

このようにアクセス制御機能を活用することで、セキュリティの強化や機密情報の保護が実現できます。さらに、アクセスログを記録しておくことで、重要なデータへの不正アクセスや操作の監視が可能です。

バックアップとリカバリ

ファイルサーバの多くに搭載されているバックアップ機能は、データ保護や災害時の復旧という観点から非常に重要です。また、リカバリ機能を活用することで、誤操作や障害によって失われたデータを迅速に復元し、業務への影響を最小限に抑えることが可能です。

ペーパーレス化が進む今日、データの破損や消失は企業にとって重大なリスクです。そのため、バックアップとリカバリの重要性はさらに高まっているといえるでしょう。

ファイルサーバの構築方法

ファイルサーバには大きく分けて以下の3つのプロトコルや技術があります。

  • Samba
  • WebDAV
  • NFS

Samba

Sambaは、IBMが開発したSMB(Server Message Block)プロトコルや、その拡張版であるCIFS(Common Internet File System)プロトコル、後継となるSMB2やSMB3プロトコルを使用してファイル共有を実現するソフトウェアです。Sambaサーバを活用すると、WindowsやLinux、macOSなど、異なるOS間でシームレスにファイルを共有できます。

さらに、ユーザーごとにアクセス権限を設定できるため、セキュリティを考慮したファイル共有が可能です。WindowsのActive Directory(AD)ドメインに統合でき、AD認証を用いたアクセス制御が行えます。

WebDAV

WebDAV(Web Distributed Authoring and Versioning)は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を拡張したプロトコルで、インターネット上でファイルの作成や編集、削除などの操作を可能にする技術です。ファイル共有やコラボレーションを目的として開発され、特にWebサーバを介してリモートでファイルを扱うために使用されます。

HTTPが基本的に「読み込み専用」であるのに対し、WebDAVは「読み書き」の操作が可能です。ファイルのロックやバージョン管理など、コラボレーションに適した機能も備えています。

NFS

NFS(Network File System)は、ネットワークを介して複数のクライアントが共有ディレクトリやファイルにアクセスできるようにするためのファイル共有プロトコルです。

NFSサーバを活用すると、同一のファイルに対して複数のクライアントからアクセスできるため、ファイル管理が容易になるのがメリットですが、WindowsではなくUnix・Linux環境でのみ使われることがほとんどです。

NFSには初期バージョンのNFSv2のほか、パフォーマンスと拡張性が改善され、大容量のファイルや大規模なシステムに対応したNFSv3、セキュリティとパフォーマンスがさらに強化された最新バージョンのNFSv4と、複数のバージョンがあります。

NASとの違い

ファイルサーバは特定のOSやソフトウェアをインストールし、ネットワーク上でファイルを共有するために設置されたサーバです。一方、NAS(Network Attached Storage)は、ネットワーク上でのファイルの保管・共有に特化したストレージデバイスです。

ファイルサーバとNASの主な違いは以下の点にあります。

システムの柔軟性

ファイルサーバ

ファイルサーバは汎用的なコンピュータ上で動作し、さまざまなソフトウェアをインストールすることが可能です。これにより、ファイル共有以外にも多様なサーバ機能を追加でき、カスタマイズが可能です。

NAS

NASは専用のOSを搭載したストレージデバイスで、ファイルの保管・共有に特化しています。基本的な機能は限られています。しかし、最近のNASはアプリケーションを追加することで機能を拡張できるものもあります。

ハードウェアの拡張性

ファイルサーバ

ハードウェアのアップグレードが容易で、必要に応じてディスクやメモリを増設できます。そのため、ストレージ容量や処理能力を柔軟に拡張できます。

NAS

NASはハードウェアの制約があり、拡張性はファイルサーバほど高くありません。ただし、複数のドライブベイを持つモデルもあり、ある程度の拡張が可能な場合もあります。

管理機能

ファイルサーバ

複雑なユーザー管理やアクセス権限の設定が可能で、企業内のデータ管理において高いセキュリティと制御が可能です。

NAS

基本的なユーザー管理機能を備えていますが、ファイルサーバほどの詳細な管理は難しいです。最近のNASは管理機能が強化されているものもあります。

オンプレミスとクラウドの違い

ファイルサーバを選ぶ際には、オンプレミス型とクラウド型のどちらを選択するかも重要なポイントです。ここでは、オンプレミス型とクラウド型それぞれの概要やメリット・デメリットを解説します。

オンプレミス型ファイルサーバとは

オンプレミス型ファイルサーバは、企業や組織が社内やデータセンターに設置して使用する物理的なサーバです。ユーザーは社内のパソコンからネットワークを介してサーバにアクセスできます。

オンプレミス型ファイルサーバのメリット

オンプレミス型ファイルサーバの最大のメリットは、自社内でファイル管理を自由にコントロールできる点です。特定の業務要件やワークフローに応じた設定が可能であり、企業のセキュリティポリシーに基づいた厳格な管理を実現できます。また、ローカルネットワークを使用するため、ネットワークの遅延が少なく、安定した環境でファイル共有が行えます。

オンプレミス型ファイルサーバのデメリット

一方、オンプレミス型ファイルサーバの構築には、ハードウェアの購入やデータセンターの借用など、初期コストが高くつく場合があります。また、導入後はメンテナンスやアップグレードに伴うコストも考慮する必要があります。

さらに、サーバの運用や保守、セキュリティ対策は全て自社で行う必要があり、ITリソースや専任のスタッフ、専門知識が求められます。災害時のデータ保護やバックアップ計画も重要で、リスク管理が不十分だとデータ損失の危険性が高まります。

クラウド型ファイルサーバとは

クラウド型ファイルサーバは、インターネット上のクラウドサービスプロバイダが提供するインフラを利用して、データの保存や共有、管理を行うファイルサーバです。「オンラインストレージ」や「クラウドストレージ」とも呼ばれます。

クラウド型ファイルサーバのメリット

クラウド型ファイルサーバは、ハードウェアの購入やメンテナンスが不要なため、運用コストを削減できます。また、インターネット接続があれば任意のデバイスからアクセスできるため、リモートワークやモバイルワークに適しています。

ストレージの容量は必要に応じて簡単に拡張・縮小できるため、コストの最適化にも寄与します。サーバの運用や保守はクラウドプロバイダが行うため、企業はITリソースを他の重要な業務に集中できます。

さらに、拡張性に優れ、バージョン管理機能が実装されていることが多く「いつ」「誰が」「何を変更したのか」を把握しやすく、複数人でのファイル共有にも役立ちます。多くのクラウド型ファイルサーバでは、自動バックアップが標準機能として提供されており、冗長化されたインフラでデータを保護するため、データ損失のリスクを大幅に軽減できます。

クラウド型ファイルサーバのデメリット

クラウドにデータを保存する際には、インターネットを経由してサーバにアクセスするため、セキュリティ対策が重要です。データの暗号化やアクセス制御の設定が必須であり、アクセス権の設定ミスによる情報漏えいにも注意が必要です。

さらに、クラウド型ファイルサーバはインターネット接続が必須であり、接続障害が発生した場合、アクセス制限される可能性があります。

ファイルサーバ導入時のポイント

ファイルサーバを導入する際の重要なポイントは以下の4点です。

  • ハードウェアの要件
  • ソフトウェアの要件
  • セキュリティ対策
  • 運用とメンテナンス

ハードウェアの要件

ファイルサーバには信頼性と可用性が求められます。HDDはRAIDやRAID相当の構成を必須とし、電源ユニットやネットワークインターフェースにも冗長性を持たせることが望ましいです。HDDや電源ユニットはホットスワップ機能を備え、故障時の対応においてもサービスを継続できるようにします。

CPUについては、同時に多くのユーザーがアクセスする場合は、複数のプロセッサや高クロック数のCPUが必要です。ストレージ容量は、企業・組織の規模や業務内容、データ量、将来の成長予測などに応じて決定しましょう。

メモリは同時接続数に応じて用意し、キャッシュの効率を向上させることが重要です。ファイルサーバの運用や管理を容易にするためには、リモート管理機能やモニタリング機能、遠隔電源管理機能などのサーバ管理機能があると便利です。

また、オンプレミスかクラウドか、先述したそれぞれの特徴を考慮して選定しましょう。

ソフトウェアの要件

ファイルのアップロードやダウンロード、削除、共有などの基本機能の操作性を確認しましょう。直感的に使えるインターフェースが理想です。

ファイルのバージョン管理機能があれば、変更履歴を追跡できます。また、ファイルのアクセス履歴や操作ログを管理者が確認できる機能は、不正アクセスの検出、コンプライアンスの順守、セキュリティポリシーの評価に役立ちます。

BCPを考慮すると、バックアップと復元機能が必要です。データの損失や破損を防ぐため、バックアップは遠隔地への保存が望ましいです。

さらに、大量のファイルを効率的に検索・分類する機能も有用です。キーワードやファイルの属性に基づいて検索や分類ができると使いやすさが向上します。

セキュリティ対策

ファイルサーバにおけるファイアウォールの設定は、ネットワークのセキュリティを強化し、外部からの不正アクセスを防ぐために重要です。

ユーザー認証やアクセス権限の管理も必要です。特定のユーザーにのみファイルへのアクセスを許可するなど、アクセス制御を設定することで、不正なアクセスやデータの漏えいを防ぐことができます。また、ファイルサーバ上のデータを暗号化することで、機密情報を保護できます。

ファイルサーバのモニタリングとログ管理を行うことで、内部からの不正アクセスや異常なアクティビティが検知でき、早期の対応が可能になるため、こうした機能が備わっていることを確認しましょう。

運用とメンテナンス

ファイルサーバの導入に際しては、運用やメンテナンス方法を事前に検討することが重要です。サーバの監視体制や障害対応の体制を事前に構築しておきましょう。

バックアップのスケジュールはデータの重要性に応じて、毎日、週次、月次などで検討することが重要です。ディスク使用量を監視し、ディスク容量が逼迫しないように管理する必要があります。

問題が発生した場合に備え、トラブルシューティングのプロセスも明確に定めておきましょう。決めた運用ルールは文書化しておくことで、新しいスタッフにも迅速な引き継ぎが可能になります。社内で定期的にセキュリティ教育を行い、ファイルサーバの適切な使用方法やセキュリティの重要性を従業員に周知することも大切です。

Windowsファイルサーバのクラウド移行にはi-TECファイルサーバがおすすめ

ファイルサーバを活用することで、社内のデータ共有が容易になり、効率的な共同作業が実現できます。このようなニーズに応える選択肢の一つとして、i-TECファイルサーバがあります。このサービスは、Windowsファイルサーバをクラウド環境に構築するため、スケーラビリティと柔軟性を向上させることができます。Windowsファイルサーバから移行する場合は、従業員にとっては使い勝手が変わらず、管理者は引き続きActiveDirectoryによるユーザー管理が可能です。

また、ハードウェアの運用管理や障害対応は全てアイテック阪急阪神に任せられるので、サーバの管理負荷を最小限に抑えることができます。1日1回の遠隔地バックアップが標準機能として備わっているため、災害時でも安心です。

Windowsファイルサーバのクラウド化やBCPへの取組を検討しているなら、アイテック阪急阪神までお問い合わせください。

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